ブロガー旅鉄記 〜乗り鉄と廃鉄と、時々、鉄以外〜

鉄道乗車・廃線跡探索からニュースなど、鉄道に関する雑記あれこれ。



2013年12月

信楽高原鉄道、復旧に向けて動き出す。

以前「信楽高原鉄道が廃線の危機。」というエントリーで存続か廃止かという危機的な状況を綴りましたが、ここにきて明るい兆しが見えてきたようです。

『運休の信楽高原鉄道、運転再開にめど 国の補助制度適用見通し』
 [ 12月3日 産経新聞の記事 - こちら

今回の台風被害による復旧費用について、甲賀市は橋梁の部分的な補修で3億5千万円、全面架け替えでは約10億円かかると試算、全線の復旧にはさらに財政負担が必要として廃止の方針も示唆していました。
しかし国側が先月11月28日、今回の災害は鉄道軌道整備法に基づく災害復旧事業費補助金制度の適用対象になる旨を滋賀県を通じ甲賀市に伝えました。
これに基づき補助金の申請を求める方針を固めたようです。
この補助金制度が適用されると、甲賀市の負担は全体の75%となり、さらに市の支出の95%は地方交付税で補填される見込みとなるとのこと。
また滋賀県もこの復旧事業に対し一定の補助を行う方針を示しているそうです。

そして甲賀市はさらに補助金適用を受けた場合の復旧費用を試算し、適用されれば復旧は可能との判断を下しました。

『信楽高原鉄道が復旧へ…甲賀市負担は最大1億円、捻出可能と発表 復旧めど来年12月』
 [ 12月25日 産経新聞の記事 - こちら

新たなる試算によれば、全線復旧のための事業費は約7億円にものぼるものの、補助金が適用されれば甲賀市の負担は最高でも1億円、最低でも2,000万円となり、その費用は財政計画で捻出できるとしています。
また台風被害によらない老朽化などが原因と判断された部分の工事費用も、その一部を別の制度による補助金で賄えるということです。

今後甲賀市は国と滋賀県と協議を進め、補助金の申請を行うことにしています。
国は申請を受理した後、工事費用の約7億円から台風被害による復旧費用と認定した額を算出することになります。
国と県は認定額のうち、それぞれ4分の1ずつを負担する方向で調整しており、残りの2分の1についても、95%は国が補助をする見通しだということです。

とにもかくにも、信楽高原鉄道は復旧への道が大きく開けました。
復旧の目標は来年2014年の12月。
残念ながら今回の台風被害により2013年度収支が黒字見込みから赤字見込みになるとのことですが、これを機に1日でも早く復旧出来ればいいなと願っています。


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泉北高速鉄道の運営会社株売却案、大阪府議会で否決される。

泉北高速鉄道運営会社の株式がアメリカのファンド会社に売却されることに。」の続報です。


大阪府堺市と和泉市を結ぶ泉北高速鉄道の運営会社大阪府都市開発株式会社(以下「OTK」)の全株式をアメリカの投資会社ローン・スター・ジャパン・アクイジッションズ(以下「ローンスター」)に売却する案が、16日の大阪府議会本会議で否決されました。
府議会の過半数を占める大阪維新の会は賛成方針を決めていましたが、維新の会の議員4人が反対に回ったため賛成51票、反対53票となり売却案は承認されませんでした。

元々沿線自治体からも反発が出ていたこのローンスターへの売却案否決、まずはほっとひと安心というところでしょうか?
個人的にはこの造反した4人の議員に拍手を送りたいところです。

そしてこの売却案否決の後、産経新聞がまた非常に興味深い記事をUPしています。

『「大阪府都市開発株」売却議案否決で財源見通し不透明に…北大阪急行延伸、「今はリセットボタンが押された状態」と府担当者』
 [ 12月18日 産経新聞の記事 - こちら

どうやら松井知事はこのOTK株売却の費用を北大阪急行電鉄南北線の千里中央〜新箕面(仮称)間の延伸事業に充てる考えだったようです。
こちらの記事によると、この延伸事業は約600億円の費用が見込まれており、そのうち沿線の箕面市が建設事業費として200億円、新駅周辺の道路整備費などとして100億円の合計300億円を負担、そして大阪府がこのOTK売却金の中から100億円を負担、残りは北大阪急行電鉄など鉄道事業者の負担と国からの補助金で補うようです。

まさに産経新聞の見出しにあった「“北摂”のため“堺”を売却」というこの案ではさらに議会の反発を招くのは必至でしょう。
しかしローンスターへの売却は否決されようと、OTK株の売却方針は変わることがありません。
いったい松井知事は今後どんな手腕を見せるのでしょうか。

松井知事にとっても、泉北高速鉄道関係者やユーザーにとっても、まだまだ正念場が続きます。


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正月におトクなきっぷが続々発売。

最近では元旦もしくはお正月にお得なきっぷが出ることも珍しくなくなりましたね。
2013年も残りわずか、そんな中でお正月向けに発売される中からいくつかピックアップしてみました。

まずは地元、JR九州。

http://news.mynavi.jp/news/2013/12/03/471/index.html
今年(来年?)も登場、「初乗り! お年玉乗り放題きっぷ」と去年から登場した「九州初旅きっぷ」。
「初乗り! お年玉乗り放題きっぷ」は発売期間が12月10日〜1月2日、利用期間は1月1日または2日のいずれか1日間で大人2,000円、小学生200円。
但し1月1日利用のきっぷに限り12月31日21時から利用可能となります。
JR九州内の普通列車・快速列車の自由席が乗り放題。

「九州初旅きっぷ」は発売期間が12月10日〜12月30日、利用期間は1月1日または2日のいずれか1日間で大人10,000円、小学生2,000円。
九州新幹線やJR九州の各特急列車の自由席が乗り放題。

どちらも小学生用のきっぷは大人用とのセットのみで販売し、小学生用のみの販売は行わないとのこと。
またどちらにもお年玉特典利用券が3枚付いており、提携する神社などで特典が受けられます。


続いてはJR西日本。

http://news.mynavi.jp/news/2013/11/26/312/index.html
この「JR西日本・お正月乗り放題きっぷ」、去年までは「元日・JR西日本乗り放題きっぷ」という名前で元旦のみ有効のきっぷだったのですが、今年は大きくリニューアルしました。
「JR西日本・お正月乗り放題きっぷ」では1月2日も有効となり、また元旦と2日続けて利用出来る2日間用きっぷも登場しています。
ルールは今まで通りで、山陽新幹線を含むJR西日本の全路線、智頭急行線、宮島フェリーが乗り放題。
また普通車用とグリーン車用があり、普通車用は普通車指定席が、グリーン車用はグリーン車または普通車指定席が4回まで利用できます。
発売は12月11日から12月25日までで、お値段は1日間用が普通車用15,000円、グリーン車用17,000円、2日間用は普通車用20,000円、グリーン車用24,000円。
子どもは1日間用・2日間用ともに普通車用が3,000円、グリーン車用が5,000円とのこと。

今までは元旦だけだっただけに、2日間あればかなり動ける範囲が広くなりますね。

最後はJR東海。

http://news.mynavi.jp/news/2011/11/17/037/index.html
こちらはいずれも元旦のみ有効となる、「新春こだま&ワイドビューフリーきっぷ」と「新春のぞみグリーン早特日帰りきっぷ」。

http://news.mynavi.jp/news/2013/11/25/046/index.html
新春こだま&ワイドビューフリーきっぷ」は新幹線「こだま」やワイドビュー特急などJR東海の在来線および伊勢鉄道線の各列車の普通車自由席が1日乗り放題というきっぷ。
なお名古屋~新大阪間のみ「ひかり」も乗車可能、「のぞみ」や東京〜名古屋間の「ひかり」や寝台列車は乗車出来ません。
発売期間は12月1日から2014年1月1日までで大人13,000円、子ども3,000円。
またグリーン車及び指定席を4回まで利用可能なグリーン車指定席4回用は大人15,000円、小児5,000円です。

「新春のぞみグリーン早特日帰りきっぷ」は「のぞみ」のグリーン車に乗車して日帰りで東京・品川、新横浜~名古屋、京都、新大阪、新神戸間を往復利用出来るきっぷ。
12月11日〜12月25日の発売となるものの、発売席数には制限があり予約出来ないこともあるとのこと。
ちなみに価格ですが例えば東京・品川(都区内)と京都・新大阪・新神戸(市内)の往復で20,000円、東京・品川(都区内)と名古屋(市内)で17,000円です。


他にもいろいろなきっぷが発売されるようですが、お正月だからこそ列車に乗って遠出というのもいいかも。
まあ僕は例年通り、1月2日に「初乗り! お年玉乗り放題きっぷ」で三社参りする予定です。


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泉北高速鉄道運営会社の株式がアメリカのファンド会社に売却されることに。


全然知らなかったニュースだけに多少度肝を抜かれた気がしました。

大阪府堺市と和泉市を結ぶ泉北高速鉄道の運営会社で、大阪府が49%の株式を所有する大阪府都市開発株式会社(以下「OTK」)の株式を、アメリカの投資会社ローン・スター・ジャパン・アクイジッションズ(以下「ローンスター」)に売却する方針が打ち出されました。
また大阪府以外の株主でもある大阪瓦斯や関西電力(両社とも各18%保持)、りそな銀行・三菱東京UFJ銀行・三井住友銀行(三行とも各5%保持)も同時に全株式を売却するようです。

『大阪府都市開発株式会社(OTK)の株式売却の公募について』
 [ 11月26日 大阪府のホームページ - こちら

大阪府のホームページで公開されている選定結果のPDFファイルを読んでみると、資格審査を通過した6社の中からローンスターが優先交渉権を得ていますが、次点者として南海電気鉄道の名前があがっています。

文面的にはOTKの事業特性や利用者の利便性向上を踏まえた提案も考慮したようになっていますが、ぱっと見、結局は提案価格が一番高かったローンスターが選ばれたようにしか見えません。
提案価格が南海電気鉄道は720億円であったのに対し、ローンスターは781億円ですから。

『大阪府の3セク鉄道会社の売却、ローンスターが優先交渉権=関係筋』
 [ 11月13日 ロイターの記事 - こちら

ローンスターのことについて、ロイターがこんな風に紹介しています。

ローンスターは、バブル崩壊後の1990年代以降、経営に行き詰ったホテルやゴルフ場、金融機関などを相次いで買収。経営再建後に株式上場(IPO)や、他社への売却で利益を上げることを主な投資手法としている。今回の売却条件には、株式取得後5年間は譲渡を行わないなどの制限が課せられている。

外資や海外ファンドが鉄道会社の株式の半分以上を保有するのは国内では初めての事例となります。
それに対して、反論も多いようです。

『泉北高速売却 松井知事、維新に「幼稚」』
 [ 11月30日 ロイターの記事 - こちら

もともとOTKの株式売却は日本維新の会の橋下徹共同代表が大阪府知事時代に決定されたもの。
その母体である大阪維新の会の中で反対論が出ており、堺市議会で自民、公明、民主系、共産の4会派がローンスターへの売却方針撤回を求める決議を提出することに際して維新市議団が同調する動きが出ているようです。

これに対して幹事長の松井一郎現知事が「幼稚な判断だ」と電話で伝えたり、「府民の財産が60億毀損する部分はどうするのか?府議団の中でしっかりとした理由で決めてもらいたい」といら立ちを見せたりしていると報道されています。
「781億円ー720億円=61億円」の損をすると言ってる時点で、提案価格が一番高かったからローンスターにしたと言っているようなものです。
元々の最低売却価格は637.5億円、南海電気鉄道の提案価格でも83.5億円ほど上回っているのですから府民が納得しないとは思えません。

そもそも維新市議団が反対の理由のひとつとして上げているのがローンスターの運賃計画。
南海電気鉄道は乗り継ぎ料を80円値下げする提案であるのに対し、ローンスターの提案はたった10円の値下げ。
どちらが利用者の利便性向上を図っているか、素人でも分かる話ですね。
また、元々この泉北高速鉄道には南海電気鉄道高野線が接続しており現在も相互直通運転を行っていますし、1993年くらいまでは南海電気鉄道が泉北高速鉄道の全業務を委託されていました。
そう言った意味では、南海電気鉄道が何よりも泉北高速鉄道のことをよく理解しているとも思えますし、一番譲渡先に適合しているのではないでしょうか。

以前エントリーをUPした西武ホールディングスとサーベラスとのやりとりを見ても、海外ファンドが鉄道会社を保有するのは不安ばかりが先行してしまいます。
さらに投資目的であれば、きっと将来的には売却することで利益を出すことしか考えてないようで気がかりです。

12月の府議会で最終結論が出るようですが、どうなるか今後の動向に注目です。


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